こんにちは。
飛騨市の漢方薬治療動物病院「はるじろう漢方ペットクリニック」の佐藤です。
すっかり梅雨ですね~。
普段は下痢をしない子も今の時期は下痢になることがあったりします。
食品が傷みやすいということもありますが、脾(消化吸収に関わる器官)は湿気が苦手なことが大きな理由です。
そこに様々な要因も加わって脾の機能が低下して、胃腸の水分停滞を招いてしまうと考えます。
おうちの子が急にお腹を痛そうにして下痢をしだしたら心配ですね。
元気や食欲があっても、いざ目の前で血混じりの便がでると軽くパニックになる飼い主さんもおられます。
顔は痛そうな困った顔をして、そわそわしていつもと様子がちがいます。
でも落ち着きましょう!下痢以外の症状がなく比較的元気であれば普通は数日で治る場合がほとんどです。
ただし、体力のない子犬、子猫やお年寄りは注意が必要です。脱水症状もおこしやすいです。
子犬、子猫の場合は寄生虫感染や怖いウイルス感染症のこともありますので、様子はみないで病院へ行きましょう。
よくある下痢の原因としては
フードの食べ過ぎや変更
傷んだ食べ物などの誤食
神経質な子では来客やホテル、トリミングなどのストレス
食物アレルギー、不耐症
冷えによる下痢
寄生虫感染
ウイルス感染
といったところですが、
気圧の影響で下痢する子もいますね~
重症では、血便、嘔吐、食欲低下など他の症状を伴うもの(パルボウイルス腸炎、伝染性肝炎などの感染症や、膵炎、異物誤飲など)や、
慢性に経過して体重の減少がおきたりするもの(膵外分泌不全、肝疾患、腎疾患、炎症性腸疾患、リンパ腫などの腫瘍)もあります。
必ず診察を受けて治療してください。
以下、東洋医学的な分類です(ちょっとマニアック編)
東洋医学的には下痢は泄瀉と痢湿で区別します。
泄瀉とは大便の回数が多く質が薄くひどいと水様になる病症をいいます。
現代でいえば、(厳密には違うかもしれませんが)小腸性の下痢です。
それに対して痢湿は大腸性の下痢のことをさします。裏急後重といういわゆる「しぶり腹」(便意があるが少量しかでなくてすっきりしない、絞るような痛みがある)を伴い『膿血を下す』と表現されます。
排便後に肛門のヒリヒリ感があり、悪いものが出てるなーという感じがするやつです(湿熱ですね)!
泄瀉(いわゆる下痢)の分類
①外邪による泄瀉
《六淫の邪(風、寒、熱、燥、暑、湿)による下痢》
「湿邪」(湿気)は消化機能に最も影響を与えやすく、胃腸の機能の低下を招きます。
「風邪」は現代ではウイルスや細菌などがあてはまります。
夏の暑さは「暑邪」、寒い環境やクーラーによる冷えなどは「寒邪」
クーラーによる冷えには五積散や人参湯でお腹を温めます
感染性胃腸炎では血便や腹痛、嘔吐など伴うことがありますが西洋医学的治療では対症療法しかありません
漢方では黄芩湯が有用です
黄芩湯は体内水分の調節作用、消炎作用、抗菌、抗ウイルス作用、免疫賦活作用が報告されています
②飲食の不摂生による泄瀉
《生もの、冷たいもの、脂っこいものなど消化に悪いものの過食が脾胃を損傷》
神麴、山揸子、炒麦芽など含む晶三仙や、加味平胃散などで消化を助けてあげます
③精神刺激による泄瀉
《ストレス、精神緊張などで肝気がうまく流れず、その肝気が脾を犯すことによる》
神経性下痢、過敏型腸症候群の下痢型にあたる
ストレスを受けやすい子、緊張しやすい子は運動やマッサージで肝気を巡らすといいです
気を巡らす漢方薬、加味逍遙散、四逆散に五苓散や胃苓湯を加えたりします
④脾胃虚弱による泄瀉
《長期間にわたる飲食の不摂生、過労、慢性疾患などで脾胃の機能低下》
いわゆる胃腸が弱いタイプ
一度に少ししか食べられない、消化が悪い、冷飲食ですぐお腹を壊すなど
胃腸機能改善に参苓白朮散、六君子湯、啓脾湯など
⑤腎陽虚による泄瀉
《慢性疾患または加齢に伴い腎気・腎陽が虚して(少なくなって)、脾を温められず脾腎陽虚になると脾の機能低下を招く》
老化による機能低下、もしくは先天的に弱いもの
冷えを伴い朝方腹痛して下痢をして、下痢をした後は楽になります(五更泄瀉)
真武湯や人参湯、附子理中湯などお腹を温める作用を強めます
③から⑤は、慢性もしくは再発性の下痢のことが多いですが、これらは西洋医学の治療ではできることはあまりなく、積極的に漢方薬を活用するといいですね!
➀と②は、…いろいろ気を付けて予防しましょう‼(^_^;)
でも急な症状が出てしまった時は漢方薬を活用するといいですよ!
痢湿は大腸性の下痢ですが、多くは熱性で、感染症によることがほとんどです。
痢湿の中でも疫毒痢は、赤痢やコレラなどの感染力の強い腸疾患があてはまります。
犬ならパルボウイルス腸炎などでしょう。
感染性の腸炎は、泄瀉から始まり痢湿となることが多いです。
昔は
今のように抗生剤もなく点滴治療もできないため、これらの下痢で多くの方が亡くなっていました。
その中で救命効果をあげてきた漢方薬が現代に受け継がれている有名処方となっているんですね~。
次回はそんな漢方薬について書いてみたいと思います。
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