こんにちは。 飛騨の漢方専門動物病院「はるじろう漢方ペットクリニック」の佐藤千絵子です。 炎症性腸疾患(IBD)という病気をご存じですか? 人では潰瘍性大腸炎やクローン病がこれに当たります。 免疫の異常が疑われていますが、はっきりとした原因は不明です。 犬も同じように免疫異常に関連して発症すると考えられます。 これといった原因がない慢性の消化器疾患で、麻酔をかけて腸の粘膜組織を採取して調べて、炎症性細胞の集積が認められると、炎症性腸疾患と診断されます。 症状は、炎症を起こす場所により変わりますが、軟便、下痢、血便、嘔吐、体重減少、食欲不振などがあります。 炎症を抑えるために、ほとんどの動物病院ではステロイドが処方されます。 ステロイドが効かない場合、もしくはステロイドの副作用が出てしまう場合は、免疫抑制剤を使用します。 そして、症状を抑えた後は、薬を減らしていかなければいけないのですが、これがなかなか難しいのです。 減薬していくと、症状が再燃してしまう場合があるからです。 減薬がなかなか出来ないと、飼い主さんは、このまま大量のステロイドや免疫抑制剤を飲ませ続けることに不安を感じて、違う治療法を探し始めるのです。 実は、うちの犬のはるも腸炎があり、軟便、血便を繰り返していました。 初めのうちは、サラゾスルファピリジンという、大腸炎のお薬を使用して、血便を止めていましたが、やめるとすぐに血便、軟便になります。 これではいけないと思い、はる用に漢方薬を調合し、飲ませることにしました。 主に炎症を抑える作用のある漢方薬で、血便は出なくなりました。 はるの場合は、病変が大腸に限局しており比較的軽い症状であったことと、早めに漢方薬に切り替えたので、すぐに症状が治まりました。 しばらく漢方薬をやめてみると、ほどなく再び血便、軟便になったため、その後は微調整して今はほんの少しの漢方薬を継続しています。 最近は調子がすこぶる良く、とても良い便が出ています。 合成添加剤なしの漢方薬は長く与えても全く心配せずにあげられます。 ただ、漢方薬の種類によっては、長期に飲み続けない方が良いものもあります。 最初の症状が取り除けたら、体質をみながら内容を変えたり、再発予防として微調整していくと良いです! 多くの漢方薬(特に清熱作用のある漢方薬)に免疫調整作用がある事も、最近の研究で証明されています。 炎症を抑える現代医学の薬はステロイドくらいですが、漢方薬には様々な種類があり、症状や体質により色々な組み合わせをして治療をします。 病気が長期化したり、ステロイドの投薬などで複雑化すると、漢方薬治療も効果が出にくく、難しい治療になります。 是非、初期のうちに漢方薬を試してほしいと思います。 炎症性腸疾患は、血液中のアルブミンという数値が下がってしまう重度な子では、命に関わる難しい病気になりますが、炎症を抑えることと免疫を調整することが大事なのは同じです。 多くの人やペットが、病気の初期のうちから、漢方薬治療という選択肢を持ち、早期に回復できることを願っています!


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